2014年7月6日日曜日

<基礎資料>「北肥戦誌」「九州治乱記」マニアックス ~九州戦国総まとめ~

 当ブログにおいては毎度おなじみの「北肥戦誌(九州治乱記)」ですが、九州戦国時代を語る上では、



 誰もが避けて通ることができない必読の書



となっております。


 事実、九州各地の県誌・市町村誌においては、必ず絶対何が何でも一度や二度や数え切れないほど、「北肥戦誌」からの引用があり、それだけ



 絶大な人気を誇る、九州戦国界の不動のセンター



と言ってよい実力を持った人気者なのです。



 その理由。


 蒙古襲来から秀吉の九州統一までを通時的に追っており、さらにとにかく「読みやすい」のがポイント。初心者でもけっこう読めます。


 基本的には淡々と著述されているものの、時にドラマティックに盛り上がるあたりがツボ。

 
 やたらめったら人が出てきて、マイナーな登場人物にもスポットが当るのが、グッド。



・・・能書きはこれくらいにして、今回の記事は基礎資料なので、「北肥戦誌」情報を一挙大公開です。


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☆ 今回の記事はこれから「北肥戦誌」ファンになりたいあなたのための、入門編です。

 九州にお住まいのあなた!あなたのご先祖もきっと登場している「北肥戦誌」を読んでみてね!



<「北肥戦誌」とは>

 佐賀藩士 馬渡俊継によって書かれた「肥前を中心とする」九州戦国期の通史。

 書かれたのは江戸時代中期であるため、戦国期当時の即時記録ではないが、馬渡俊継は著述に当りできるだけ正確に書くために当時の記録・文書・伝承の収集に励んでいるので、それなりに妥当性がある。



<書名について>

 正式名称がない変わった書物であり、「北肥戦誌」「九州治乱記」など呼ばれる。マイナーな写本になると「覚書(おぼえがき)」みたいなタイトルがついているものも。

 単に「治乱記」とするものや、「肥陽治乱記」という名称もある。


 一般的には(各市町村史誌・県史誌などでは)引用元として「北肥戦誌」の名が広く使われている。



<現在入手できる「北肥戦誌」は4パターン>


 ① 国史叢書バージョン 「北肥戦誌」

   国史研究会(矢野太郎)編 『国史叢書 北肥戦誌』 全2巻 国史研究会1918(大正7)

   東大史料編纂所蔵「鍋島直大蔵本写」を活字化したもの。原本は30巻本。



 ② 肥前叢書バージョン 「北肥戦誌」

   肥前史談会編 『肥前叢書 第ニ輯』 肥前史談会1939(昭和14)

   肥前叢書そのものは第一輯・第二輯と全2巻なのだが、第一輯には
   「肥前風土記・肥前旧事・肥前旧事続編料・肥前古跡縁起」
   が収録され、第二輯に「九州治乱記/北肥戦誌」が収録されている。35巻本。


 ③ 青潮社バージョン 「肥前叢書」全2巻

   肥前叢書全2巻の復刻版、35巻本。 青潮社1973(昭和48)



 ④ 青潮社バージョン 「北肥戦誌」
 
   高野和人編 『北肥戦誌 九州治乱記』 全1巻 青潮社1995

   国史叢書版の写真製版による”完全コピー”に、35巻本からの5巻分を補完したもの。

   従って、30巻分までは、国史叢書版と全く同じ。人名・戦場一覧が付属。

   31-35巻分は、肥前叢書からの再活字化。



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 無料(タダ)で読める「北肥戦誌」

  ネットで、無料で読める「北肥戦誌」は2バージョンあります。



◇ 国史叢書バージョン 「北肥戦誌」 全2巻


  国立国会図書館近代デジタルライブラリー 「北肥戦誌(一)」
  http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3441745

  
  国立国会図書館近代デジタルライブラリー 「北肥戦誌(ニ)」
  http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3441746



◇ 肥前叢書バージョン 「九州治乱記/北肥戦誌」


  グーグルブックス 「肥前叢書第ニ輯」
  http://books.google.com.au/books?id=Sbn038p2RPUC&printsec=frontcover&hl=ja&source=gbs_ge_summary_r&cad=0#v=onepage&q&f=false



 両方あわせると30巻本部分、35巻本部分のどちらも網羅できますよ。



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 無料でできる「北肥戦誌」の人名検索

  青潮社1995版には、人名索引があるのですが、実はネットで無料でできちゃいます。

  高野和人さん、ごめんなさい。僕は一冊買ったので許してください。



◇ 佐賀県立図書館 デジタルライブラリー 人名検索

  http://www.sagakentosyo.jp/jinmeiseek/php/index.php

  

  ※ 主要図書検索から「北肥戦誌」を選んで気になる人名や苗字を打ち込むとあら便利!結果が返ってきます。



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