2015年6月24日水曜日

<105> 講読『北肥戦誌』 ”神代長良千布落城の事” その1

 当家の先祖と推定している「大塚隠岐守」は、果たして戦場で死んだのか、それとも生きて当家の地にやってきたのか。

 この永遠のミステリーを解くために、今回からしばらくは『北肥戦誌』の記述をじっくりと舐めるように読んでみたいと思う。

 題して”講読・北肥戦誌”シリーズ。姓氏家系研究家にして、国文学専門家、元国語教員の名に恥じぬような読解をお届けする新シリーズは、読み物としても面白い出来のはず?(^^;;



(底本は国史叢書版『北肥戦誌』を使用した。)

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<これまでのあらすじ>

 元は筑前高良大社の神主の家系であった神代氏は、没落し浪人の身であった。

 肥前千布の地に浪々の果てに流れ着き、三瀬城主の剣術指南役の職を得て実力を発揮し始めたビクトリー☆神代(神代勝利) は、その人柄もあって付近一帯(山内)の総領となり、佐賀北部の山岳地帯を治めるようになる。

 しかし、天文4年、少弐病冬尚が龍造寺一族を滅ぼそうとした時にビクトリーは加勢し、龍造寺一族を皆殺しにする。

 親戚一同を殺された龍造寺☆くまモン☆隆信は、復讐の鬼となり、打倒ビクトリーを誓って永遠のバトルを繰り広げるのであったが、互いに有能な部下を失いながら、戦いは疲弊するばかり。

 そして永禄5年、ビクトリーとくまモンは、子のグッド☆神代(神代長良)の娘と隆信の息子を結婚させる約束で、ついに和解することになったのであった。


 ところが、そんな時に事件が起きたのである・・・。


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 神代長良千布落城の事

 永禄8年の春のことであった。肥前佐賀・小城・神崎、三地域の地主であった神代大和守勝利は、胃ガンのため3月15日、畑瀬の城で死去した。55歳であった。

 その嫡子である神代刑部大輔長良は、家督を相続する。

 思い出してみれば、ビクトリーと呼ばれた男は、長年武器を取って戦い、何度も龍造寺とバトルを繰り広げたものである。しかし、永禄5年の冬、龍造寺の老臣納富但馬守が隆信と相談して、長良の4歳の娘を隆信の三男、鶴仁王丸の嫁に迎えるという約束となり、その後両家は、今までのことは忘れて、山と里の村同士仲良くしようぜと契約を取り交わしたのであった。

  それから、永禄7年に勝利は畑瀬の山の中に城を築いて隠居したので、子の長良は、上佐賀の内千布、高橋土生島の城に移った。

 さて、グッド☆神代の奥さんは、鹿江遠江守兼明の娘で、男女二人のこどもがいた。一人は長寿丸11歳、もう一人は、くまモンと約束して嫁に出す予定の初菊ちゃん、今10歳である。

 ところが、この二人は永禄8年4月のこと、三瀬の館であいついで天然痘にかかり、あっという間に兄妹とも亡くなってしまったのであった。

 父、勝利の死に引き続いてこども二人も失い、神代夫妻の悲しみようといえば、計り知れないほどである。何もしてやれなかったと悔やんでは、合瀬の万福寺虎山和尚に頼んで葬儀を行い、悲嘆の涙に暮れるばかりなのだった。


 その状況を知ったくまモンは、 今がチャンスとばかりにグヘヘと笑っている。すぐに部下の納富但馬守と龍造寺美作守を呼んで密談して言うには、

「最近、長良のヤツ。こども二人が死んだからゲッソリやつれているらしいじゃないか。こりゃあ、チャンスだぜ。今のうちにあいつをヤッちまうに限る。おまいら二人はすぐに千布へ行って、かくかくしかじか俺の言うとおりにあいつを騙くらかしてこい!」

とのこと。そうして、隆信は計画を練り、長良の居城、土生島へ二人を使わしたのであった。


 「いや、これはこれは長良殿」

と納富但馬と美作は、長良に対面しては、言葉巧みに言いくるめ始める。

「この度の二人のお子様のこと、大変悲しいことでございましたな。隆信様も、もちろん大変残念に思われておりますです。しかしまあ、これはまた、ホレ、別な話ではあるのだけれども。初菊殿が亡くなられたということは、鶴仁王丸様の縁談も無くなってしまうということであるわけで、引いてはわれら両家の約束を違わすわけにもいかんのでですな。要は、ご結婚の話が無くなっても、改めて約束を交わして、今後とも互いの結束を、まあ、深めよう、というわけです。わかりますな?」

 そう言いながら、「隆信さまからの、改めての誓約書です」と、文書を差し出したので、長良のほうもまさかこれが計略だとは思わず、受け取って使いの二人を丁寧にもてなしたのであった。





(さあ、神代長良はいったいどうなってしまうのか?!悪名高き肥前の・・・もとい肥前の熊こと龍造寺隆信の計略はいかなるものか?!はてさて、大塚家の先祖と思しき大塚隠岐守は、いったいどこに登場するのか?!  ・・・まて次回!)










2 件のコメント:

  1. おお、このあたりは未だ読んでないです^^
    いまやっと天文年間に入ったところでした^^;

    ビクトリー神代^^
    ノリがいいっすね^^

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  2. もともと「北肥戦誌」は文章が読みやすくて、素人でもまあまあ読めてしまうので、とっても良い読み物だと思います。

    意外に感情表現とか豊かなので、臨場感もあるし!!

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