2014年10月9日木曜日

<話題>戦国時代は続いている?!『本領安堵』で読み解く現代社会

 みなさんこんにちは


 今日はネットの記事で面白いものがあったので、ちょっとご紹介しておきます。

 

 家を買ったら「住所」違った 関西は「飛び地」の宝庫
 http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1409/19/news023.html

 (ビジネスメディア誠 さんより)



 以前の記事で

「<妄想>この国を作ったのは信長だ?! 戦国から読み解く現代日本のあれこれ」
 http://samurai-otsuka.blogspot.jp/2014/09/blog-post_11.html


というのをやった時に、現代日本は戦国時代を引きずっている、ということを書きましたが、まさにそんな話です。



 記事にあるとおり、関西には「飛び地」がけっこうあって、私が中高生時代をすごした町にも、飛び地のせいで「えらい遠いところから自転車を必死にこいで通ってくる」クラスメイトがいました。


 さすがに、そんな飛び地も「平成の大合併」のおかげでぜんぶがひっくるめておなじ市になったので解消したのですが。


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 さて、ではどうして「飛び地」が生まれるのか考えて見ましょう。

  私たちの「まち・むら」の概念では、基本的に土地は地続きで、A市の中にB市の一部が存在する、といった状態はちょっと考えにくいものがあります。

 ところが、実にわかりやすい世界最大の飛び地なるものがあって、それを思い起こせば納得することができるのです。


  そう、世界最大の飛び地は  アラスカ   ですね。


  アラスカは物理的には離れています(間にカナダがある)が、アメリカ合衆国の領土ですから、当然アメリカです。

 つまり、土地と国とは、すなわち「領土」のことであり、離れていても「領有権」が存在していれば、そこが領有権をもつものの所有になるわけです。


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 現代社会において「領主」さまというのは存在しませんが、ついこの間(江戸時代)までは、領地という考え方は一般的でした。

 なので、飛び地であっても「藩の領地」「寺の領地」「誰か領主の領地」という状態は、比較的容易に起こりえたわけです。

 おなじ領地であれば、そこに住む人同士の結びつきが強かったり、あるいは最後まで領有権が離れたところにあったりして、そのまま近代・現代を迎えてしまえば「市町村の飛び地」が生まれてしまうことになります。

 
 このブログで調査してわかったとおり、ある時期三潴郡の特定の地域は「佐賀・龍造寺氏の領地」でした。

 現代でこそ、筑後地域を経て、福岡県に編入されていますが、世が世であれば「佐賀県」だったり、「佐賀県の飛び地」だったかもしれないわけです。

 おっそろしいことに、土地の面では筑後エリアでいっこうにかまわないのですが、ルーツをたどれば


「佐賀人が取り残されている地域」


だということにもなります。


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 はてさて、となると今度は深く突っ込んでしまいますが「領地」ってそもそもなんぞや。ということになりますね。


 ざっくり日本の歴史をたどれば、「すべての土地は天皇のもの」だった時代から、日本史の授業で習った


「墾田永年私財法」 (開発したら、あんたのもの)


により、「自分の領地」というものがスタートすることになります。


 めちゃくちゃ昔の考えで言えば、「自分で開墾したところ=本領のスタート」なのかもしれませんが、戦国時代までくらいには「本領」がぐっちゃぐちゃになってます(笑)

■ 自分で開発したエリアも「本領」

■ 朝廷から守護や地頭として任されたエリアも「本領」

■ 寄進された寺の領地とかも寺の「本領」

■ 戦国で分捕った領地だって「本領」

■ もう、ワシのもんは全部「本領」

みたいな~。




  ちなみに、ここからは歴史の闇をあつかうちょっとしたトリビア。

 なんでNHK大河ドラマ「軍師官兵衛ちゃん」でも

 「本領安堵が~!」

とみんながわめいているかというと、 「本領」つまり、先祖代々の土地(というよりも、自分がしっかりとした権利を持っている領地)は、


 霊的に俺のもの


だとみんな思っているからです。

 霊的に俺のもの、というのは、「別れた女も、俺の女」みたいな感覚です(笑)

 離れてても、成人してても「うちの子はうちの子」とか、「小室哲哉が著作権を全部、売り払っても、小室の曲は小室の曲」みたいな感じです。


 現代では理解不能なのがこの「霊的に俺のもの」感覚なのですが、この概念はぶっちゃけ天下統一まで残っていました。


 教科書にも出てきた「徳政令」というのは、

「貧しい人が一揆して怒るので、仕方ないから『借金をチャラにしてやりなさい』と命じる法律」

ではありません。


 そうではなくて、お金を出してきちんと買った土地や建物であっても、


「霊的に、それは本来の持ち主のものだから、返すべきだろう。なっ、そうだろ?」


という法律なのです!!!(結果的に、売買契約が無効になる)


 現代人からみたら、すごい内容ですね。きちんと売り買いしたものでも、元の持ち主が対価なしで取り返せるとは爆裂です。

 その理由が、「だって、もともとその人のものだから」では意味不明ですね。




 秀吉の天下統一のすごいところは、「国替え、移封」という手段で、強制的に

 「昔からとか、本来とか『おまえのもの』なんて一切認めないんじゃボケ!」

 ということを示したことなんです。実は。なので、すべての戦国武将は、ビビってしまったわけです。

秀吉、ひいては家康に従っていないと、何も「使用権すら認定されない」ということに気づいて、ひれ伏すことになったのです。


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 さあて、ここからはもっと恐ろしい話をしましょう。この「霊的に俺のもの」「本来の俺のもの」という所有権の感覚は、


 今の民法にも規定されている


のです!びっくり。

 さすがに、債務も売買契約も全部どんぶり返すようなシステムは日本の法には設定されていませんが、考え方は戦国時代を髣髴とさせます。


 その言葉が「原始取得」と「継承取得」という法律用語。


【原始取得】

 とにかく、あんたが一番最初の権利者!という状態。20年間、「これは俺のものだ!」と占有し続けていると、他人の土地でもあんたのものになる。やったね!

 (まさしく、現代の本領ですな)

 誰も占有者がいない「土地以外のもの」は最初からあんたのもの。(川の石をひろう、とか)

 落し物を拾って3ヶ月たった場合、もう前の持ち主とか不明で最初からあんたのもの。

 競売で土地を買った場合。もう、あんたが本領!



【継承取得】

 売買や相続によって「所有権を移転」した場合。前の持ち主から、あんたへ所有権が移るので、前の持ち主が有していた状況もそっくり移動してくる。

 例)前の持ち主がアパートの部屋を誰かに貸していたら、所有権が移っても、誰かを即時追い出せるわけではない、ということ。



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 まあ、こんな風に現代の法律でも「本領とはなんぞや」ということを考えていることがわかりますね。

  ちなみに、雑学トリビアでも有名な


「20年、他人の土地に居座り続けたら、あんたのものになる」


という最強の原始取得状態は、今の法律で決まっているわけではなく


鎌倉幕府の御成敗式目で決められている
(第八条)

から今もそれを引き継いでいるそうですよ!!!!!


 ほら、やっぱり今の日本は戦国時代を引きずってるんだ!















 
 


 





 






3 件のコメント:

  1. ( ̄▽ ̄;)、栞です。
    スマホの設定で、Googleアカウントが必要で、
    パソコンのアカウントとは別にしたんです。
    良かったのか、不味かったか、まだワカランです(´・ω・`)
    明日は官兵衛ちゃんが見れないかもなんで、
    こちらを楽しみにしてます( *´艸`)

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  2. いつもコメントありがとうございます~。私もさっきまで遠いところにいたので、録画でなんとか見れた次第(^^;;

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