突然ですが、わたくし大塚某は厄年でございまして。
厄年といえば厄除け祈願をせねば、ということで兵庫県は中ほどにある「柏原八幡宮」の厄除大祭へ参詣して参りました。
仕事終わってから行ったので夜です。雨模様でしたが、すごい人数!!
関西にも厄除け神社がたくさんありますが、阪神間ではなんといっても門戸厄神さんが有名です。子どものころは「やくじんさん」といえば門戸厄神を意味していたくらい。
そうです。大塚某は小さい頃は阪神間モダニズム文化の真っ只中で生活しておりました(^^
さて、実はこの門戸厄神さんと、柏原八幡宮の「厄除神社」のやくじんさんはちょっと違いがあります。
門戸厄神さんは「東光寺」さんというお寺におられる「厄神明王」という仏教の明王です。なんでも
「愛染明王」と「不動明王」が合体すると「厄神明王」
に変化してパワーアップするそうなので、まるで超合金か東映特撮ヒーローみたいな存在です。シャキーン!!
それに対して、八幡神社の厄神さんは「八幡神」なので、神道の神様です。ただ、八幡神には厄除けのパワーがあるとされているので「やくじんさん」と呼ばれているとか。
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というふうに、本来「厄神明王」と「八幡神」は別物なのですが、じゃあ、
門戸厄神のやくじんさんと、柏原八幡神社のやくじんさんは別人か(別神か?)
という問題を出すと、別人とは言い切れない部分も出てきます。
なんでか?
というわけで、今日は、このやくじんさんの謎を解き明かしましょう。
その謎をとくカギとして、柏原八幡神社の写真を見てみましょう。
まず、上の写真が本殿(というか拝殿も兼ねる)。天正13年に建てられており、国の重要文化財です。
天正13年で丹波地域といえばアレですね。そうです。
秀吉の命で社殿は建てられている
わけですが、ちなみに、そのまえに丹波攻めで元もとあった八幡神社を
焼き払ったのは信長(の手下の光秀)
です(笑)
柏原八幡宮のサイト
http://www.kaibarahachiman.jp/publics/index/17/
さて、今度は下の写真に注目。こちらにヒントがあるのですが、実は柏原八幡神社には
三重塔
があります。
三重塔とか五重塔というのはストゥーバですから仏教の塔です。それが神社にあるということは、
「神社と仏教が一体になった神仏習合」
をよく表している形態であるといえますね。
さて、その神仏習合ですが、明治の廃仏毀釈運動で、たいていの神社と寺は切り離されたり、神社にくっついていた寺はぶち壊されたりするのですが、八幡神社系だけはちょっと様子が違うのです。
もともと、源氏の親分である源義家が「八幡太郎義家」と名乗るように、八幡神は
「八幡大菩薩」
として武家全体の守護神として崇敬を集めてきました。というわけで、歴代の武家政権の中で、八幡神社だけは「八幡大菩薩」という概念が根強く残り、ちょびっと特別扱いされているわけです。
もちろん、廃仏毀釈の波に八幡神社も飲み込まれますが、他の神社とはニュアンスがちょっと違っていたようで。
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さて、厄神明王と八幡神が「神仏習合」で合体したっぽいことはなんとなくわかってきました。
しかし、八幡神なら誰でもどこでも厄神さんなのか、といえばそうじゃないから面白いのです。
もともと、八幡神社の本家は、九州の宇佐八幡宮でした。そこから平安時代に「岩清水八幡宮」が京都に出来て宇佐八幡の神が分家するのですが、さすが都のあった京都の岩清水八幡宮ですから、
全国の八幡さんの総元締めとして岩清水系八幡神社
というのが一定の広がりを見せるわけです。
企業で言えば、創業地は九州なんだけど、本社は東京にあるみたいな感じです。ブリジストンなんかそうですね。
もとは久留米のゴム会社だけど、本社はすでに東京でワールドワイド
みたいな。
さて、時代は平安時代のこと。空海という密教パワーをもつすごいお坊さんが、嵯峨天皇の厄年だったので厄除け祈願をしたところ、
嵯峨天皇の脳みそにビビビ!と来て、嵯峨天皇の脳内で愛染明王と不動明王が合体したイメージが展開した!
そうです。
「わわわ、わし。すごいもの見ちゃった!」
と嵯峨天皇はすぐに空海を呼び出し、空海は、そりゃあすごいねとさっそく愛染明王と不動明王が合体した
合体仏像
を3体作ったそうです。
その厄神明王像が配置されたのが、
① 高野山天野大社
② 門戸厄神東光寺
③ 岩清水八幡宮
の3つであり、現存する像は東光寺にのみ残っているとか。
従って、天野大社さんもしくはその支店は「厄神さん」であり、門戸厄神東光寺さんも「厄神さん」であり、岩清水八幡宮もしくはその支店は「厄神さん」になるのです。
ここで、おさらい問題です。
Q.宇佐八幡宮もしくはその支店は「厄神さんである」。正しいか間違いか述べよ。
A. 厄神さんではない。なぜなら、宇佐八幡は岩清水八幡の本家なので、岩清水八幡以降に広まった厄神信仰を受け継いでいないから。
ということですね。
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ちなみに京都八坂神社ならびにその支店では由来の異なる「疫神社」において「疫除け」をしているそうですよ。
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